三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート!」2012年7月15日放送

味と香りが良く、歯応えのある宿浦のヒジキの収穫量が減少!
資源の保護のため、大学と漁業者が協力し、ヒジキの育つ環境を再生します!

南伊勢町宿浦で採れるヒジキは、味も香りも濃厚ながら、海の環境の変化からか、近年収穫量が減少しています。
今回ご紹介するのは、ここでヒジキの再生に取り組んでいる、『宿浦ヒジキ場再生プロジェクト』のみなさんです。


こちらが宿浦で採れたヒジキを使った料理。
ヒジキの煮物と天麩羅です。
肉厚で、とても歯応えがあり、噛めば噛むほど、ヒジキの存在感が感じられます。
一般で食べられているヒジキは輸入ものが多く、地のヒジキは一般にはあまり流通していないそうです。
このヒジキの保護、漁業の活性化のために昨年からスタートしたのが、ヒジキの育つ環境を再生しようという今回のプロジェクトなのです。


宿浦港から、船で10分ほど移動したところにある磯が、ヒジキ場再生の現場。
磯に渡ったのは、地元の漁師さんたちで構成される『宿浦漁業権管理委員会』のみなさんと三重大学の前川先生、そして、ゼミの学生たち。
実は、この『宿浦ヒジキ場再生プロジェクト』は三重大学の協力を得て行われている取り組みなのです。


始まったのは磯の掃除。
本来ヒジキは、潮が引いた場所に生えるのですが、近年、海の環境が変わってきたためか、その場所に牡蠣などの色々な動物が付いてきて、ヒジキの生える場所がなくなって来ていたそう。
そのため、人間の手で岩の上を掃除して、ヒジキが生えやすい環境を作るのが、この日の取り組み。


こちらは、昨年、初めて掃除をした磯。
1年前は、ヒジキは見られなかったということですが、現在ヒジキが育っています。
効果は確かに現れています。


三重外湾漁業協同組合宿浦漁業権管理委員会 委員長 久保 靖臣さん

久保「最初は『大丈夫かな』と思いましたが、月日が経つごとにヒジキが成長してきたのを見て、これはすごかったなあという気持ちになりました」

地元の漁師さんたちの誰もが驚いた、ヒジキの再生。
しかも、作業には、大きな道具や専門的な機械は必要なく、お金がかからないというのが、この取り組みのポイントです。


左:宿浦漁業権管理委員会 山本昌稘さん
右:宿浦漁業権管理委員会 坂口征士さん

山本「ヒジキは確実に値段が取れる商売なので、1日の漁獲高から考えると、この掃除をしてたくさんヒジキが生えてきてくれたら、すごく効率があがります。是非、先生の指導を受けて続けたいと思っています」

坂口「二世代、三世代先を考えて、掃除していきたいですね」


地元の漁師さんたちと、大学の協力によって、岩を覆っていた貝殻も無くなり、綺麗な磯へと生まれ変わりました。
しかし、ヒジキ場再生のための作業は、これだけではありません。
みんなで掃除して作った磯の畑にまく、種、ヒジキの卵が必要なのです。

卵の採取のため、あえて収穫しなかったヒジキは、収穫期を過ぎて3ヶ月ほど。
その頃になるとヒジキの中には、卵が出来始めるので、卵が産卵される前に、刈り取ります。


刈り取られたヒジキは、南伊勢町内の水産施設での水槽の中で産卵させます。
すると、水の中に、ヒジキの卵が落ちます。

そして水槽の水を濾すと、ヒジキの卵を取り出すことができるのです。
ヒジキの卵の大きさは、肉眼では、ほとんど見ることができないほど。
こぼさないように小さな水槽へと移し、そして再び、ヒジキの卵を海へと戻します。


潮の引いた磯で、ヒジキの種付け作業。
カキ殻などを落とした磯に、卵の入った水をジョウロで振りかけていきます。


左:宿浦漁業権管理委員会 中山博治さん
右:三重外湾漁業協同組合 宿田曽事業所所長 高松克嘉さん

中山「このプロジェクトがみんなのためになるよう、がんばろうと思っています。また、この成果が楽しみですね」

高松「漁業者の方がヒジキを採って生計がたてれるように、少しでも役立てればと思います」



漁業者、地域の人たち、三重大学・・・みんながヒジキ場の再生と漁業の活性化を願っています!